アオイ模型店

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1/700 ウォーターライン 天龍


 「ふふふ、怖いか?」で有名な、日本海軍初の近代型軽巡洋艦。名前の由来は静岡県の天龍川。
 イギリスのC型巡洋艦を参考に、当時の主力だった磯風型駆逐艦の船型を拡大発展させたもので、スピードと軽快さを武器に、偵察や索敵、駆逐艦を率いての水雷戦隊旗艦などを目的に建造されました。
 主砲は後の日本軽巡洋艦の標準装備となる14サンチ砲単装砲を四基。対空火器として8サンチ高角砲一門を搭載。
 14サンチ砲はそれまで主流だった15.2サンチ砲に威力では劣るものの、最大射程はほとんど変わらず、発射速度は大幅に向上。航空機の発展に備えて対空火器を建造時から装備した軽巡は、この天龍が最初となります。
 魚雷発射管は、53.3サンチ三連装二基を船体中央部に装備。それまで主流だった45サンチ単装発射管に比べて、大幅に火力が向上しています。
 一方で防御性能は非常に低く、申し訳程度の装甲が施されているだけでした。
 当時としては破格の33ノットの高速性能を発揮する事が出来ましたが、機関トラブルが絶えず、また急速な技術の進歩により、数年以内に駆逐艦に性能で追い越される事が予見された為、当初六隻だった建造予定を天龍と龍田の二隻で打ち切られてしまいました。
 ソロモン海海戦などで活躍したものの、前線で戦うには旧式化が著しく、もっぱら後方での輸送作戦や船団護衛といった地味な任務に従事していました。
 第一次世界大戦が集結して間もない1919年11月20日に竣工。
 第二次世界大戦開戦から約一年後の1942年12月18日、ニューギニアのマダンで潜水艦アルバコアの雷撃を受け沈没。

 キット1/700ハセガワ製。毎度おなじみ素組キット。
 近代化改装後の姿を再現していますが、天龍は決定的な写真が少なく、関係者の証言もまちまちで、機銃や爆雷投射機などの装備に関しては諸説ありはっきりしていません。
 1973年発売の古参キットですが、しっかりとした成形で、パーツ数も少なく組み立ては容易。作業時間は乾燥時間も含めてほぼ一日でした。
 とはいえ、船体そのものの古さは隠せず、バリ取りなど多少の手間がかかります。
 なお、魚雷発射管の下に見えるレールは近代化改装時に取り外されているのでモールドごと削ってしまいましょう。

ハセガワ 1/700 ウォーターライン 天龍 309

ハセガワ 1/700 ウォーターライン 天龍 309